2012年12月29日土曜日

命を粗末に考えるスポーツマンはいない。

26日午前10時半ごろ、千葉県東庄町笹川の利根川支流の黒部川で起こった合同練習をしていた高校生のボートが次々と転覆した事故の件です。

ここに記載するのは、私的意見のため趣旨から外れるのかもしれませんが、いちボート指導に携わるものとして、あえて挙げさせていただきました。

まずはひとりも死者が出なかった事は本当に良かったです。
これは日頃から安全教育、危機対応のボート指導があり、また各選手もしっかりと極限の中でも動く事が出来たからだと思います。もちろん事故発生後の現場の敏速な対応があった事は当然です。

18艇もの艇がほぼいっせいにドミノ倒しのように転覆していったとの情報や選抜による強化合宿選手だったという事からも、未熟なテクニックから引きおこったものではなく、危険を感じて回避などが出来ない様な突発的な風、高波が発生したのでしょう。橋の下付近で起こっている事も十分要因のひとつでは無いかと思います。

出艇の判断については、各指導員の方が相談して決めている事と、その後数時間は普通に練習をこなせていたという事から合宿の目的からいっても、その時点で陸上トレーニングに切り替えるという判断は出せなかったと思います。
現に同水域で別にカヌー部も練習に出ていた事からも、中止の判断を出すのは難しかったと思います。

しかしこういう事も起こりうるという事をしっかりと意識して、
 ①出艇前の最新の情報収集(天候、水温、体調など)。
 ②乗艇中も絶えず、周りの変化を気を付ける。
 ③「沈」しても、しっかりとリカバリー出来き、生還出来る技術を習得する。
のポイントを、自分自身、指導においてはもちろんのこと、周りと連携して取り組んでいきたい。

ボートにおける「沈」は、「かっこ悪い」「駄目なこと」ではない。
もちろん状況によっては、ボートやオールを痛めることになるし、身体への負担もあるので、
バイクレースの転倒と同じ様に、やらない事に越したことはない。
しかし水上という事もあり、万が一の場合には、命にも関わってくるので、「沈」後の対応、対処方法は、しっかりと身に着けておかなければならないと思います。
「沈」はないもの、しないものとして扱うのではなく、ボートというスポーツの大事な技術のひとつとして考え、柔道における「受身」、スキー、スケートにおける「上手なコケ方」などと同じく、身の安全を守り、スポーツを長く楽しく続けていくためにも必要なことだと思います。


それにしても今回Net上の無知、無責任さと、それによる拡散、拡大もひどかった。
こうやって「炎上」なる気持ちの無い負の連鎖が生まれていくんだと感じた。

 「カヌーが転覆」 「漁師も出港しない」「ライフジャケットを付けないなんてありえない」
 「命をなんだと思っている」「無知、無責任すぎる」

「サッカー」と「ラグビー」を云い間違えると、世間ではどう思うだろうか?
「ボクシング」を「プロレス」のルールで解説すると、どう聞こえるのだろうか?
「サッカー」や「プロレス」で「ヘッドギア」を付けない事はありえない事だろうか?

生徒のことを一番に考えていないコーチなんかいない。
命、身体のことを考えていないスポーツマンなんかいるわけがない。

0 件のコメント:

コメントを投稿